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貸金業者の請求及び弁済受領と不法行為
 貸金業者が長期に渡って制限超過分を含む弁済を受けたことによって過払金が多額になった場合にも不法行為となるか?

民法709条,同704条

最高裁平成21年9月4日判決
判時2058号59頁

「一般に,貸金業者が,借主に対し貸金の支払を請求し,借主から弁済を受ける行為それ自体は,当該貸金債権が存在しないと事後的に判断されたことや,長期間にわたり制限超過部分を含む弁済を受けたことにより結果的に過払金が多額となったことのみをもって直ちに不法行為を構成するということはできず・・」
「これが不法行為を構成するのは,上記請求ないし受領が暴行,脅迫等を伴うものであったり,貸金業者が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知り得たのに,あえてその請求をしたりしたなど,その行為態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られる・・」

請求としては,ごく簡単に言うと「第1に過払金304万円の不当利得返還を請求,第2に過払金266万円を受領した行為は不法行為を構成するので過払金相当額の損害賠償を請求」したものです。

これまでの貸金業の推移からするならば,ほとんどの人が妥当な判決だと思うことと思いますが,色々考えさせられる事件であり判決です。過去にはグレーゾーンがしっかり生きていた時期があり,次第に銀行が対応しなくなった部分でサラ金が社会的な貸金需要に応えて一定程度は社会を支えてきたことも事実です。この問題は,基本的には政治的怠慢のツケが出ている分野であり,一連の最高裁判決を見ると,この社会的需要の中で何もしなかった政治に対し「法的にはこうだぞ」という手紙を裁判所が突きつけているような感じもします。

とにかく,このような先の見えない不況下ですから,状況を放置し,利用者がヤミ金にどんどん潜っていかないように,政治部門にはしっかりとがんばってもらいたいものです。
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