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民事再生 担保権消滅制度01
 担保権消滅制度は販売用財産にも活用できるか?

民事再生148条1項
東京高裁平成21年7月7日決定 判時2054号3頁

再生債務者は,土地付き戸建分譲,マンション分譲及び不動産賃貸等の事業者であるが,民事再生手続において,販売用土地に設定されている銀行の抵当権の消滅許可の申立てを行い裁判所はこれを認めたが,銀行はこれを不服として即時抗告した事案。

典型的には「製造業者であってその工場の土地・建物に担保権が設定されている場合や,小売業者であって店舗の土地・建物に担保権が設定されている場合」とされますが,上記のような業者の販売用財産についても,これを認めて法的バランスを失しないのかが問題となるのでしょう。

「担保権消滅許可の制度は・・担保権者の利益と事業再生の目的及び一般債権者の利益との調整を図ることとしたものである。・・事業継続不可欠要件を充たす財産とは,担保権が実行されて当該財産を活用できない状態になったときには再生債務者の事業の継続が不可能となるような代替性のない財産であることが必要である。」
「本件土地は販売用財産であって,上記の典型例のように継続して使用する財産ではないところ,こうした財産にあっても,事業継続不可欠性要件を充たすといえるかが問題となる。この場合,再生債務者の事業形態には様々なものがあるから,その事業の仕組に即して当該財産が事業継続性不可欠性要件を充たすものか検討することが必要となる。」
「本件においては・・事業は戸建住宅の分譲であるところ,事業の仕組みとして・・一連の事務の流れが構成されており,その中で分譲すべき戸建住宅の敷地に担保権を設定し消滅させることが織り込まれているのであって,担保権者もこれを了解している。このような場合,敷地に設定された担保権の消滅なくしては戸建住宅を通常の不動産市場で売却して利益を得るという事業の仕組みそのものが機能しなくなり,結局,事業そのものが継続できなくなる蓋然性が高い。」

時々,再生がらみでは問題になる論点ですね。一つの方向性を示しており実務上有益だと思います。ちなみにこの決定の裁判長は加藤新太郎さんです。
| 法律/破産・再生・任意整理 | 19:40 | - | trackbacks(0) |
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