夫婦の一方が他方と不貞行為に及んだ第三者に離婚に伴う慰謝料を請求する場合

最高裁 平成31年2月19日判決

判例タイムズ1461号28頁

 

「当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。…夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である。」

 

不貞相手に対する慰謝料請求における被侵害利益は,他方の配偶者としての権利であり一種の人格的利益と言われています。

そして,慰謝料の発生については,いわば不貞行為から直接発生するものと,不貞行為の結果離婚するに至ったために発生するものと考えることができますが,上記判例は後者に関するもので,最高裁としては初めての判断と思われます。

 

ところで,上記判例タイムズの解説では「不貞相手に対して請求された不貞慰謝料に係る債務と,配偶者が負っていた離婚慰謝料に係る債務は,不真正連帯債務になると解されるが,両者は,被侵害利益が異なり,慰謝料の中身が異なる(不貞慰謝料には,離婚自体によって発生する慰謝料を含まない。)ため,このことを考慮して損害額を算定する必要があり,通常は,損害額が異なることとなるものと解される。」とあります。参考までに。

| 法律/家事・離婚 | 17:48 | - | - |
離婚訴訟において原告と第三者との不貞行為を主張している被告が第三者を相手方として提起した損害賠償訴訟と人事訴訟法8条

最高裁平成31年2月12日決定

人事訴訟法8条1項

判例タイムズ1460号43頁

 

「離婚訴訟の被告が,原告は第三者と不貞行為をなした有責配偶者であると主張して,その離婚請求の棄却を求めている場合において,上記被告が上記第三者を相手方として提起した上記不貞行為を理由とする損害賠償請求訴訟は,人事訴訟法8条1項にいう,人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟に当たると解するのが相当である。」

 

事実経過

1)配偶者Aから離婚訴訟を提起された被告Bが,配偶者は有責配偶者であると主張

2)被告Bは,不貞行為の相手方Xに対して地裁に損害賠償請求訴訟を提起

3)相手方Xは,離婚訴訟が系属している家裁に事件を移送するよう申立

4)地裁が移送する決定をしたところ,Bは即時抗告

5)高裁は即時抗告を棄却

6)Bは許可抗告を申し立てて,高裁はこれを許可

7)最高裁は,Bの抗告を棄却して上記決定

 

家庭裁判所の職分管轄に関する事例です。

時々考えるケースがありますが上記判断は参考になります。

| 法律/家事・離婚 | 11:56 | - | - |
| 1/1PAGES |