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管理組合の部会の裁量権
 管理組合の部会が専有部分の賃貸借を承認せず,区分所有者による賃貸を妨げたことは不法行為となるか?

判タ1319号172頁
東地H21/09/15判決
民法709条,416条 区分所有3条,31条1項

区分所有者が,その専有部分を心療内科クリニックとして第三者に賃貸するため,管理組合の店舗部分の部会に営業開始承認願を提出しましたが,これが承認されなかったため訴訟となったものです。

判決は,本件の管理規約および規則について「区分所有法の定めを具体化して,店舗部分の管理を被告店舗部会による私的自治にゆだねていると見るのが相当・・裁判所が被告店舗部会が営業者による営業開始を承認するかどうかの判断は,被告店舗部会の合理的裁量に委ねられる」としつつ,これに一切司法審査が及ばないのではなく「被告店舗部会の裁量権の行使としての処分が,全く事実の基礎を欠くか又は社会通念上著しく妥当を欠き,裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してなされたと認められる場合に限り,違法であると判断すべきものである」としました。

そして,本件では承認拒否をした実質的な理由は「診療科目は心療内科であるが,実際には精神科であり,そこに通院する患者によって他の店舗やクリニックに迷惑になるおそれがる」としたことにあるとし,「心療内科,精神科や神経科に通院する患者が周囲の者に対し不安感を与えたり又は迷惑をかけたりするような行動をとるとの事実を認めるに足りる証拠はないし,被告店舗部会がこのような事実の裏付けとなり得る資料に基づいて承認しないとの判断をしたことを認めるに足りる的確な証拠もない」「被告部会は,その裁量権を逸脱し又は濫用して,本件承認願を承認せず,原告の区分所有権を制約したものと言わざるを得ず,このような行為は不法行為としての違法性が認められる」としました。

原告の損害については,礼金33万2千円,賃料33万2千円のところ,平成19年12月ころには本件専有部分を賃借することを断念したことから,このころには賃貸する可能性がなくなったとし,その後に「原告が,ほかの賃借人を探すなどして,損害を回避又は減少させる措置を執ることなく,上記損害のすべての賠償を被告店舗部分に請求することは,条理上認められない」とし「賃借することを断念した時から6ヶ月が経過した後の・・期間の賃料に相当する損害については,その賠償を請求することはできない」として,398万4千円の損害賠償を認めました。

上記は,管理組合側の裁量権の判断について一つの具体的なイメージを持つのに適している事例だと思います。

それから,損害賠償の範囲についても着目すべき部分があります。上記判決は,最判H21/01/19(判タ1289号85頁)を参照していますが,これは営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが民法416条1項にいう損害にあたることはできないとしたものです。原告は,引き続き東急リバブルに賃貸の媒介を依頼し,賃借人募集の広告をしていたが申し出る者がいなかったと主張しましたが,判決では「希望賃料額等の募集内容は明らかでなく,このような事実のみでは,十分な回避・減少措置が執られていたと認めることはできない」としました。

本件では,原告は不承認処分の無効確認も求めていましたが,借りる方からすれば,無効確認がなされるまで時間がかかり過ぎることもあり(本件では訴え提起から判決まで3年近くかかっているようです)別の物件を探しますよね。そうすれば,ほとんとの案件では,無効確認の部分は意味がなくなってしまい,実質争点は不法行為しか残らないことになります。
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